広島県の神楽

第1回十二神祇神楽大会「ハーモニーみわ(岩国市美和町)」

広域十二神祇神楽連絡協議会主催による大会が、平成27年3月15日(日)岩国市美和町にて開催されました。出演団体は、広島県より「石内神楽団」「坂原神楽団」「松ケ原神楽団」「上矢口郷土芸能保存会」「浅原神楽団」「河津原神楽団」「伊勢神社神楽団」「阿刀神楽団」。岩国市美和町より「釜ヶ原神楽団」「東谷神楽保存会」「山代白羽神楽保存会」の11団体が一堂に集まり、華麗で貴重な舞が沢山披露されました。小原清(おばらさやか)氏による特別講演「六神・旗舞・恵比寿について」があり、十二神祇と呼ばれる伝統的な神楽とお話を堪能しました。

阿刀神楽(広島市安佐南区・阿刀明神社)

伊勢神社神楽団(広島県廿日市市原 伊勢神社)

原神楽は、廿日市市市原にある伊勢神社の秋季例大祭前夜、伊勢神社神楽団によって奉納される。演目の「湯たて」「所務分」「荒平」「天臺将軍」は、安芸十二神祗神楽の形を忠実に伝承されていることなどから、広島県無形民俗文化財に指定(平成24年1月26日)された。伊勢神社は、宮島を見わたす小高い丘に建つ。午後5時、原神楽の特徴である「神おろし」から始まった。舞殿に天臺将軍(てんだいしょうぐん)で使用する鎧等の諸道具を据え、全員が神殿に向かって座った。太夫役が、米占いで神楽舞の許可を伺う儀式である。「湯たて」から舞いが始まり、子供による「弊舞」、そして女性による「荒神」の華麗な舞がテンポ良く繰り広げられる。随所、花火による演出で臨場感溢れる舞が続くが、圧巻はやはり「荒平」である。子供たちと大いにハシャギ回った「大蛇」の後、いよいよ将軍舞の時間を迎えた。今年は、例年より何倍も見物客が多いとのことである。無形民俗文化財の指定を受けたことが影響したのか、それにしても大変喜ばしいことと思う。天臺将軍は、明治2年に湯来町白砂村から舞の技術を学んだが、現在白砂では将軍舞は途絶えているそうである。別名「死に入り」ともいわれ花舞・刀舞・弓舞の三部構成で1時間近く舞う。終盤を迎えると、五方の天蓋にくくり付けた米袋を弓の筈で順次突き破り、最後に中央の米袋を破って神がかる。太夫は太鼓に座らされ、「六根の祓い」で神がかりを解き、五方と天地に向かい放矢し悪霊封じをする。この「死に入り」の舞は、死者や死霊祭祀の場で実施されてきたことを暗示し、神楽発祥の問題に関わり大変貴重なものであるという。